【Q&A】後見人制度とは何ですか?

後見人制度と何ですか?

後見人制度とは何ですか?

子供は自閉症で、今後の生活全般に心配しています。親が面倒を見られなくなった場合、誰にお願いすればよいでしょうか?兄弟はいますが面倒は見たくないと言っています。後見人という制度があるようですがどうすればよいでしょうか?

専門家による回答

後見人制度とは、正確には『成年後見制度』呼ばれるもので民法に定められています。

成年後見制度は介護保険制度と同時に2000年4月に始まった比較的新しい制度ですがその必要は年々増加しており、制度の利用者も18万人程度にまでなっております。

ここでは質問者の心配事に焦点を当て、障がい児の親亡き後問題を前提に説明します。

ひとことで言うと、財産を管理する、物品やサービスを購入する、何らかの契約を結ぶといった法律行為を本人(被成年後見人)に代わって後見人が行うという制度です。

例えば、小さな子供が親の同意を得ずに額の大きな買い物をしてしまったり、法的な義務を生じる契約書にサインしてしまった場合、親は民法で認められた親権を盾にして子供のこれら法律行為を取り消すことができます。

未成年がスポーツクラブの会員になったり、携帯電話の契約をする場合は必ず親(親権者)の同意書が必要になりますね。

あれを思い浮かべていただければわかりやすいと思います。

知的障害を伴う発達障害等の理由により判断能力が十分でない子供が20歳になり、親の親権下になくなった場合、それまで親が親権を理由にして子供を法律的に守ってきた役割を行うことができるのが家庭裁判所によって選任された成年後見人です。

親子や兄弟、親類等が成年後見人となるケースもありますが、成年後見人の選任はあくまでも家庭裁判所の権限で行われ、親族による成年後見人は年々減っています。

20歳未満の子供が親の死亡等の理由により法定代理人を必要とする場合は未成年後見人が選任されることになりますが、権限、役割は成年後見人に準じます。

成年後見人は本人に代わって財産を管理したり、施設利用等の必要が生じた場合に契約を結ぶなどの非常に強力な権限を持つことになります。

成年後見人は訪問販売等で本人がよくわからずに契約してしまった売買契約を取り消す権限も持っています。

このような強力な権限を持つ理由は、判断能力が不十分な本人を詐欺等の犯罪から守ったり、安定した日常生活を送れるように保護したりする必要があるからです。

そしてこのような強力な権限を持つ成年後見人は家庭裁判所の管理監督のもとに、その役割を果たすこととなっています。

成年後見制度は以上のように、本人(特に本人の財産)を犯罪や浪費から守るという意味では大変有効な制度ですが、それゆえに弊害も指摘されることがあります。

今後、『強力な保護』と『本人の自由意志尊重』との間でどうバランスをとっていくのか、制度自体のさらなる改善も期待されています。

以下のページも参考にしてください。

【解説】障がい者の子へ相続する際の成年後見人制度の活用
【障がい者の相続問題】自閉症等の子供を守る為の3つの制度
【障がい者の相続問題】親亡き後問題に備える民事信託・家族信託